今季、選手会長として不退転の決意で臨んだ 清宮幸太郎。
しかし、キャンプ中での怪我。溜息をつくファンの目に飛び込んできたのは、ドラフト同期・宮台康平の信じられない「快挙」だった――
元々「地頭が良かった」のは間違いないだろう。しかし、それ以上に筆者は、本格派左腕の野球界での大成を、一瞬たりとも疑っていなかった。
かつて同じ東大からファイターズに入団した遠藤良平とは、失礼ながら投球の次元が違った。優に150キロを計測する直球と、大学日本代表を背負ったその実力。彼は「東大卒の星」ではなく、純粋に「一人のエース候補」として、我々の期待を背負っていたのだ。
期待値が高かったからこそ、プロでの自由契約、そして引退という幕切れには言葉にできない喪失感があった。だが、彼はマウンドを降りてもなお、我々の想像を遥かに超える「剛速球」を準備していたのだ。
難関「司法試験」に、なんと一発パス‥。
合格率の壁、一日10時間の猛勉強(※1)。プロ野球生活よりも『きつかった』と語る宮台。ボールからペンに持ち替えた彼は、法律という武器で再び「トップ」を狙う舞台に立ったのだ。
(C)amazon スワローズにも所属していた
一方、昨シーズン規定打席に到達し、自己最高の打率を記録した清宮。もはや期待される若手ではなく、自覚を持たねばならない「中堅」の域に入っている。それだけに、選手会長の重責を担いながら、キャンプ期間で「即離脱」の醜態をさらしたのでは、あまりにも示しがつかない。宮台が司法試験で見せたような、血を吐くような執念が、今の清宮にあるだろうか。
‥幸い、二軍戦で復帰を果たし、開幕には辛うじて間に合いそうだ。新庄監督、そして彼を信じて待つチームメイトからの「信頼」を取り戻す時間は、まだ残されている。
司法試験一発合格という、宮台がペン一本で成し遂げた「逆転満塁ホームラン」。その鮮やかな軌道を見せられて、背番号21も燃えないはずがない。清宮もまた、怪我を言い訳にできないほどの覚悟をバットに込め、今度こそ、ダイヤモンドで「主役」の座を奪い返してほしい。
(※1)《参考》週刊新潮 2026年1月1・8日合併号[雑誌]
