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【デジタルが奪った曖昧さの美学と 歴史を揺るがす放物線「プロ野球」ここまで言って委員会607】メランコリー親父のやきう日誌 《2026年3月26日版》

『事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きているんだ!』

かの名台詞を真っ向から否定するかのように登場するのが、今季からジャッジを一手に引き受ける「NPBリプレーセンター」だ。高度な機械の目は、グラウンドの熱狂を瞬時に「デジタルな正解」へと翻訳する。果たして、そこに「ドラマ」の入り込む余地は残されているのだろうか――

 

「ドラマ」といえば、エスコンフィールドではリプレイ検証時、スタジアムで流されるBGMが、いかにもそれな【踊る大捜査線】あるいは【古畑任三郎】であったりと、どうも古めかしい。明らかに平成寄りだ。だが、このデジタル全盛の時代に、あえて「古き良きドラマ」の熱を球場に持ち込むセンス‥。もちろん「ド真ん中」な筆者は嫌いではない(笑)

今後、どういった運びになるのかはまだ分からないが、たとえばあの「事件」の最中にかけられるBGMも、ファンからの公募によって決めてはどうだろう。エスコンで名探偵コナン‥ そんなチャーミングな?路線も悪くはない。

 

(C)amazon 事件はリプレーセンターで起きている ※画像はイメージ

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しかしながら、ワシはよく思う。この「リプレー検証」が、それこそ昭和・平成の時代からあったなら、と。

たとえば1978年の日本シリーズ第7戦。大杉勝男が放った、シリーズの行方を大きく左右したとする、6回のソロホームラン。これが今の、リプレー検証によって裁かれていたなら、阪急・上田利治監督の「1時間19分」にも亘る、伝説の猛抗議は生まれていなかったはず‥。

平成時代にも1990年。巨人対ヤクルトの開幕戦で起きた、疑惑のホームラン。篠塚利夫が放った弾道は、後年の検証映像によれば、明らかにポールの外側を巻いていた‥。さらに時を遡れば、長嶋茂雄「天覧試合」でのサヨナラアーチも、打たれた村山実は頑なにファウルと主張していたし、場合によってはリプレー検証がなされていたかもしれない‥。

ここで一つのパラドックスが生じる。もしリプレー検証という「光」が当時を照らしていたなら、我々は真実を得る代わりに、あの凄まじい熱量を持った「人間ドラマ」という名の影を、失っていたのではないか。

 

真実が暴かれることで、伝説は絶滅していく。村山実の涙も、上田利治の咆哮も、今やモニタリングの向こう側に消えた。便利さと引き換えに失った、曖昧さの美学‥。

これを嘆くのではなく、我々は「正解」の先にある、新しいドラマを探し続ける必要もありそうだ。

 

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