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【エスコンの夜空を貫いた「衝撃」ノーヒット・ノーラン「プロ野球」ここまで言って委員会609】メランコリー親父のやきう日誌 《2026年4月02日版》

分からないものだ。

開幕前、あれほど下馬評が高かったファイターズとドラゴンズが、ともに開幕三連敗スタート。先にトンネルを抜けたのは、ファイターズだった。ホーム開幕戦で先発を務めた細野晴希がノーヒット・ノーラン達成。このような快挙を誰が予想できただろう。

 

大記録の裏には幾重もの偶然、奇跡が重なるという。運命の最終回、エスコンフィールドの空気は、期待と恐怖が混じり合う異様な密度に達していた。

先頭の代打・岡大海が放った鋭い打球は細野の身体をかすめた、ヒット性の当たり。しかし、それがセカンドの目前に転がっていってワンアウト。続く、宮崎の打球はショートへ。若干バウンドを合わせるのが難しいゴロだったが、そこは名手・山縣秀が難なくさばいてツーアウト。

だが代打の山口が放った一二塁間へのゴロを、ファーストの清宮が痛恨の失策‥。よもやの出塁を許してしまうも、動じずに、次の藤原を三振に斬ってとった。最後はアウトローにズバッと収まったフォーシーム。清宮の失策という「想定外のシナリオ」さえも、その後の完璧な一球への壮大な伏線に過ぎなかった。‥あとになって思えば。

 

筆者が腰を据えて野球を見始めたのが、1990年代。ファイターズの投手にかぎれば、今回の細野で4投手目の偉業だ。したがって、単純計算でだいたい10年に一度にあるかないか‥。

そう考えると、たいそう貴重な試合を拝めたわけだが、プロ野球全体を見渡すと、一時期ノーヒット・ノーランが、やたら頻発していた。よって「ノーノ―」投手に対するメディアでの扱われ方もだいぶ変化してきていて、たとえば西崎幸広が過去に達成した際などにはニュースステーション(現・報道ステーション)を筆頭とする、半ば狂騒的なテレビ番組の「ハシゴ」といった光景も見られたものだ。時代がちがえば、あるいは細野の名も、今よりもっと全国区となっていた‥かもしれない。

 

それにしても、痛快である。彼は当該ドラフト会議で「ハズレハズレ1位」だった選手。あたかも近年のファイターズのクジ運の弱さを象徴しているかのようであるが、その細野が同期生に先がけて、球史に名を刻む‥。

筆者が愛読している「野球太郎」で表紙を飾るほどの逸材、目玉選手でありながら、他球団の評価は意外なほど低かった。球はめっぽう速いが、制球難‥‥。大方そんなところだろう。

 

(C)amazon 細野を指名できたのは誠に救いだった

野球太郎No.048 2023ドラフト直前大特集号

 

しかし制球重視の、やや腕を下げたフォームで、その最大とも思われていた弱点を克服。当日も、わずか2与四死球のみだった。いわば「必然」ともいえた、一世一代な快投劇‥。

急なローテーション変更というチーム事情に翻弄されながら、それをも味方につけてしまった強運。プロ入り3年目、細野に心地よい「初風」が吹き始めている。

 

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