この季節によく吹く猛烈な強風で、関東地方の桜はすっかり散ってしまった感はあるが、北海道ではこれから見ごろを迎えるという....
北海道ではゴールデンウイークが桜の開花時期と聞きました。まずはその時まで一軍で投げ続けたい。桜のように散らないように頑張ります
『桜のように散らないように』 先日プロ初勝利をあげた、ドラ2左腕・加藤貴之の言葉学だ。センテンススプリングの読者なら分かると思うけれど、あの名物コラム風味に‥。件の文章は、某野球雑誌の企画で「桜」の思い出について綴られたものである。
うまいこといいよるなと。私の口元がほのかに緩んだ。
開幕一軍を勝ち取った加藤。最低でも、桜の時期までは一軍にいたい、その意志の表れだが、“ボーダーライン”どころか、一軍ローテーションにも加わりそうな勢い‥。先発した16日の千葉ロッテ戦では社会人出の投手らしく、地に足のついた、危なげのない投球を披露。満員の観衆をうならせた。
ドラフト前、加藤はノーマークだった。どんな投手なのか、まったく知識を持ち合わせていなく、社会人の左腕ということで、私は何かベテランにありがちな「技巧派」のような先入観を、勝手に抱いていた。
ロッテ戦を観る限りでは、たしかに速球でグイグイと押す「本格派」でもないようだが、それでもストレートは140キロ手前の球速があり、鋭く落ちる球で打者から空振りも奪っていた。
球のキレは八木智哉を彷彿とさせるが、彼ほどのダイナミックさはない。むしろ投球のスタイルとすれば武田勝の方に近い‥か。ただし、フォームは変則ではなく、どちらかといえばオーソドックスなため、球速は勝よりもでる。
なるほど、短いイニングの「左殺し」より、ある程度長いイニングを任せてゲームメイクができる先発型‥‥これが同日みた、私の「加藤評」だ。
したがって、いい意味で、筆者の先入観を覆してくれた加藤だったけれど、その一方で、期待を裏切られたこともあった。桜と、自身が置かれている立場を絶妙にブレンドさせた、あれほどの名文?を考えつく加藤だから、どういった感性を持つ投手なのか‥ワクワクしながら「初お立ち台」を見守ったが、意表をつく超低音ボイス、口数は少なく、何やら朴訥な印象すら受ける青年であったのだ。
‥社会人出身とはいえ、今はすべての物事が初体験で、緊張もしていたかもしれない。ゴールデンウィークはもう間近、一軍生き残りは先の好投で間違いないところだが、ここは狙いを大きく定め、新人王獲得という「大輪」を、秋には咲かせてほしい。
≪参考≫