◆こち亀、40年の歴史をもって幕
今でこそ漫画を読まなくなった私だが、もちろん、このマンガは知っている。「ワイドナショー」で松本人志が「こち亀」をこう表していた。
読みたくなくても、読む状況にあるーー
たしかに。連載が終了するからといって特段、悲観することもないけれど、もう“現在進行形”の両津勘吉が見れないと思うと‥‥それはそれで寂しい。巻頭カラーを飾るのは年に二度あるかないか。掲載箇所も「中の下」あたりと、あの当時、人気絶頂を誇っていた少年ジャンプにあっても、極めて微妙な立ち位置でいた、こち亀。
でも、そこにあれば‥‥そこに両さんがいれば、やっぱり読んでしまう。なんだか“空気”のような存在だった。
それにしても、他の追随を許さぬ40年は、すごいの一言。筆者が生まれる前から連載は始まっていた。もっと判りやすく、この時間の長さをプロ野球で表するならば、40年前は王貞治が現役バリバリ‥。江川卓は大学3年生で、西武ライオンズはまだなく、クラウンライターと呼ばれていた時代。そんな頃‥。
一度、南千住に実在した「東京スタジアム」を取り上げた回があった。勘吉少年と交流のあったオリオンズの選手がケガをしてしまい、出場が危ぶまれていた試合でホームランを打つ‥といった感じの、ベーブルースを彷彿とさせるストーリーであったと記憶する。野球少年だった私にとっても、これは印象深い話で感動した。
◆カープ25年ぶり優勝の裏で
カープのリーグ優勝がもうすぐ決まる。赤ヘル軍団の初優勝が1975年で41年前だから、あらためて「こち亀」の偉大さを思い知らされるが、ともかく、セ・リーグはあっけなかった。これだけ早く決まると、来月の「決戦」までの、モチベーションとコンディションの維持が大丈夫だろうかと、老婆心ながら心配してしまう。
ただ、カープにとって少なくとも縁起の悪い?「最短記録」に並ばなかったのは、かえって良かっただろう。1990年に巨人が打ち立てた9月8日、史上最速のV決定。同年の巨人ほど、終始ぶっちぎったシーズンは以後、私は見たことがない。それくらい、滅茶苦茶に強かった。
‥なのに、日本シリーズでは西武相手に、まさかのストレート負け。このショックを引きずったかのように、翌年から巨人は低迷した。ポストシーズンまで、いかにして戦闘モードを「ON」のままにしておけるか、今後のカープの宿題となろう。
一方のパ・リーグは最後までもつれそうだ。2位と3位、3位と4位‥‥どこの順位よりも、首位と2位とのゲーム差が、いちばんつまっている。毎日がしびれる、こんなペナントレースを見られるのは、いつ以来だろうか。久々に興奮している。
それこそ「最速V記録更新か」と云われた福岡ソフトバンクを、けっきょく走らせなかった、北海道日本ハムの逞しさ‥。一気にパ・リーグの主役に躍り出たファイターズを、私は誇りにすら思う。
今の時期に首位争いができる幸せ。おかげで連日ヒヤヒヤさせられるけれど、こんな「幸福な一カ月」が、ずっと続いて欲しいとも、思ってしまう。