26日、帯広で行われた千葉ロッテ戦に勝利し、北海道移転後「通算1000勝」を達成したファイターズ。
大体12年とちょっとで1000勝‥‥。どうなんだろう、このペース。
そうか、良い比較対照があった。ハムから一年遅れて東北に新球団をつくったイーグルスが2016年終了時点、通算754勝である。楽天が1000勝に到達するには、3年近くかかりそうだから、やはり、ハムはここまで順調すぎるくらいに勝ち星を積みあげてきているといって、いいのかもしれない。
複数回、優勝してきているのだから、個人的にはもっと勝ってるような気もしていた。でも、まだ1000勝‥。ヒルマン梨田昌孝ときて、現在の栗山英樹。計3名の監督によって成しえた勝利数であるが、これを考えると、ひとりの監督の手で、1000以上も勝っているノムさんとか故・上田利治さんの凄さを改めて思い知る。
この類の記録をつくったとき、よく訊かれる。おそらく皆も同じ体験があるのではないか。
今まででイチバン印象に残った1勝は??
という質問。‥‥筆者はこれがパッとでてこない。
しいてあげるなら、ダルビッシュ有のプレーオフでの熱投であり、ターメル・スレッジの逆転サヨナラグランドスラムだが、いずれもポストシーズンでの出来事で、これらは「1000」の中にカウントされていない。“公式戦”となると、私でも選ぶのがなかなかに難しい。
‥ある意味、良い傾向なのだろうか。ひとつ勝ったくらいで、いちいち一喜一憂もしなくなった。目指すべき場所は、もっと上の方にある。ハムも、それだけ「常勝」のチームになってきたという‥‥。今、今シーズンのこのタイミングでこんなことを書くのは、本当はかなり気が引けるのだけれども(苦笑)
ヒルマンには勝つ悦び、優勝の味を教えてもらった。梨田時代は、無敵のエース・ダルビッシュ有がいたおかげで、ローテーションは組みやすかったはず。ダル様様だった梨田政権も、無事リーグ制覇を果たせた。
ダルビッシュがハム在籍時に93勝‥。1000勝のうちの約1割が、彼の手によるもの‥か。
待てよ?‥となると移転後、梨田政権時までのチーム勝利数が524(ここからダル入団前の2004年の66勝を除くと458)だから、ダルだけの勝ち星で2割強の計算‥。いかに、このチームが彼で持っていたかが解かる。
絶対エースがメジャーに渡ったと同時に就任した、栗山英樹。新人監督には厳しい船出となったが、さらに優勝回数を積み重ね、昨年はついに日本一の座に。ダルビッシュ流出後も、チーム自体はむしろ、また強くなった気さえもする。
まさに人心掌握のプロフェッショナル
それまで鳴かず飛ばずであった吉川光夫を“半ば無理やり”に先発の柱に育て上げたり、前例のない大谷翔平の「二刀流」も、もちろんそうだけれど、独特な栗山イズムでふたたび球界を席巻。彼がハムを率いた6年間は、とにかく野球が愉しかった。
‥って、まるでもう終わりみたい言い方をしてしまったが(笑)、北海道の空気に合っている栗山監督には、まだまだ続けてほしいと思っている次第。
2017年は一転し、帯広での一戦も哀しい「5、6位争い」となってしまった。先の見えない闘いは今後も続いていくだろう。しかし、優勝はすでに諦めた私でも、きょうの勝利は、格別に嬉しかった。“たった1勝”を、こんなにも喜べる心が、まだ自分の中にあったとは。
順位なんか関係なく‥いや、逆にもう順位争いの“呪縛”から解き放たれたからなのか、ただ純粋に、息子を見守る親の如く、穏やかな気持ちでファイターズを応援していた。いかなるときでも、私はやはり、北海道ハムの勝利が観たかったのだ。
通算1000勝おめでとう。そして、感謝のありがとう。