もし、あなたの銀行口座に突然、一億もの大金が振り込まれていたら........
そんな夢のような話が、昔の世にもにあった。加賀まりこ主演の【自動振込】という回である。
結論からいうと、主人公の勤め先が外資系で『ドルが安くならないうちに定年までの給料全額と退職金までもが一括払いされていた』。かなり、むりくりオチだ。
コトの経緯を知らなかった(!)加賀は大金の獲得に歓び、さんざん浪費を重ねたあげく、詐欺師に騙されて大半の額を詐取されてしまう。‥実はこの話、主人公のマヌケさ以外にもツッコミどころが満載なのだ。
まず、端数なしのジャスト「一億」という金額。当時の加賀の容貌から察するに、主人公の年齢は40~50歳といったところ(失礼!)。間をとって、ここでは仮に45歳としておこう。
現在、外資系企業の平均年収は800万程度されている(ネット調べ)。放送時期が今から30年前とはいえ、たしかそれなりの役職に就いていた主人公も、おそらく同等な額の年収をもらっていたのではないか。
だとするならば、定年が60歳ならあと15年‥。単純計算で800万×15年、給料分だけで「一億二千万」となる。したがって、くだんの一括払いに退職金まで含まれるとなると、明らかに「一億」では割に合わないのだ。
石坂浩二と恋仲になっていた頃?
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あと、原田大二郎演じる結婚詐欺師について。たぶん、ワザとだと思うが、オーバーで下手な芝居がいかにもそれらしく映った。正体を見抜けなかった加賀も、役の中では恋愛に奥手だったようで、男に翻弄されるサマが、わりとリアリティを伴った。
資金繰りに困っていると言う原田に、加賀が八千万超の小切手を持って渡しに行くシーン。このとき、原田は確かに社に居た。‥だが翌日になってふたたび加賀が訪ねると、本人は不在。それどころか勤務していたとされる会社も架空であったことを知り、すべてを悟る。
このカラクリが謎。世にも奇妙とはいえw
だって原田はどうやってまったく関係のない会社のなかに、あたかもそこの社員であるかのごとく、紛れ込んでいたのか。いつ来るかも分からない加賀を、そんなところで待ち続けていたというのか。だいぶ危ない橋だ。
アメリカ映画などに観られる、たとえば【スティング】などであったような建物(オフィス)を借り切って、社員に扮するエキストラも雇い、そこまで大掛かりな仕掛けをして人を欺いたのなら逆にお見事だけれど、本作品ではそういった様子は一切伝わってこない。
最後に崩れ落ちた加賀と、後味の悪さだけがやたら印象的なリアル系?奇妙作品であった。