一時期、本気で俳優になりたかった。
自分じゃない誰かを演じられる‥‥しかも、そこに対価が発生して。どうしてもあきらめざるを得ない事情がそこにあったのだけれど、時おりフッと当時の想いが込み上げてくる。
先月、ひき逃げ事故を起こした俳優。筆者は詳しく存じていなかったが、けっこう人気はあったそうで、大きくマスコミに取り上げられた。あのカレだってマスクの良さ以外に、何某の人物を演じ、そのイメージが浸透して、大衆から支持を得ているわけでしょう? 役者にはこれがある。普段ロクでもないヤツにかぎってお芝居の神様は味方する‥‥。土台「中途半端」な私には無理だったのだ。
では前回からの続き、2006年3月に放送された「15周年の特別編」からいってみよう。(※太字は該当回ナンバーワン)
◇2006年「15周年の特別編」
総合【D】
まったく、すべては松潤が原因だ。彼が【イマキヨさん】なんかの主演を務めてくれたせいで‥‥。かつて番組で人気投票が行われた際、本作品が1位だったと記憶しているが、理由は松潤(嵐)以外の何物でもない。他にもリメイクで観たい作品は山ほどあったのに、なぜイマキヨさんなのかと。
もし、もしも彼が【懲役30日】に出ていたらどうだったろう。執拗に松重豊から拷問を受ける松潤‥‥。ファンはもう二度と目にしたくないに違いない。それでも観たいというのなら、あなたは正真正銘の松潤ファンを名乗っていい。
◇2006年「秋の特別編」
【昨日公園】演:堂本光一
【家族会議】演:田中美佐子
総合【C】
絵にかいたような頑固おやじの部長と、仕事より恋愛の若いOL。両者の体が入れ替わってしまう、タイトルそのままの【部長OL】。ちなみ、雷が落ちて入れ替わるのは同じフジ系で放映された「放課後」(1992年)と同パターン。このケース、普通、OLの方が嫌悪しそうなものだが、意外や部長の体でEnjoyしている(笑)。続編があるようなことを匂わせるラストも、実現には至らず‥。「君の名は。」ブームに乗っかってぜひ続きを観てみたかったが。ホラー調が最後は一転する【猫が恩返し】、時空系奇妙【昨日公園】も及第点。
◇2007年「春の特別編」
総合【A】
とりわけ後半3作品が良い。教師が生徒に翻弄される【雰差値教育】は誠に痛快。【午前2時のチャイム】はホラー系の快作。【回想電車】は、このタイトルがミソなのだけれど、話題のあの宮崎美子が、主人公の回想シーンに登場してきている。
この作品がまた謎を呼ぶラストで、実に解釈の仕方が難しい。実際に視て頂くしかないが、視方によってはその宮崎美子も、はなから存在しなかったことに!?
学生の頃からモッテモテだったとか
(C)amazon
◇2007年「秋の特別編」
【未来同窓会】演:石原さとみ
【カウントダウン】演:阿部サダヲ
【自販機男】演:城島茂
【48%の恋】演:白石美帆
総合【C】
持つべきものは学生時代の友! ‥なんて、筆者は生まれてこの方「同窓会」というもの参加したことがない(または呼ばれたことがないw)。この【未来同窓会】というのは当然、特殊なカタチでの同窓会となるのだが、あの頃に友を持つことの素晴らしさ、後に心の財産となり得ることを「奇妙」と同時に説いてくれる内容だ。
具体的にはここで触れないが、ヤングチーム、アダルトチームそれぞれの役者陣(美男美女!)も良き。そのうちのひとり、インテリ役を担った伊藤正之氏は、11日放送の「相棒」シリーズにも、秘書役で出演していたという余談。
◇2008年「春の特別編」
【さっきよりもいい人】演:伊藤英明
【日の出通り商店街いきいきデー】演:船越英一郎
【透き通った一日】演:北乃きい
総合【C】
当回なら【これ‥‥見て‥‥】と【フラッシュバック】が双璧。前者は、ぜひ以前綴ったエントリを読んでもらいたいが、とにかく、戸田の狂気&向井理のヘタレ具合がすさまじい(笑)。後者は「半沢直樹」では決して見られなかった、挙動不審な堺雅人のリーマン役にご注目。
◇2008年「秋の特別編」
【どつきどつかれて生きるのさ】演:横山裕
【死後婚】演:深田恭子
総合【D】
意外と隠れた?名作なのは、内田有紀の【ボディレンタル】。近年、当作品ほど「綺麗に」締める奇妙作品は少なくなったのではないか。それほど、観る者を清々しい心にしてくれる。
参考までに、内田は自殺願望のある主人公の役。ひょんなことから吉行和子演じる老婆と出会い、自身の生き方を見つめ直していく。‥彼女に起きた心境の変化は、ひょっとしたら生き苦しい現代を生きる人たちに響くかもしれない。
《つづく》