今年もやるのか‥‥【ドラフト緊急生特番!お母さんありがとう】?
ドラフトの特集をやってくれるのはありがたいのだが、その「家族」にフォーカスしているところが鼻につく。あくまで家族間の問題である。それをなぜ視聴者まで巻き込むのか。
若作りに余念がない、バッチリメイクなお母さん‥。大根役者の下手な再現V見せられたり、小学校の授業参観よろしく、またベタな両親への手紙を全国放送で選手に読ませたり‥‥視ているこちらまで恥ずかしくなってくるし、若干ムカつきもする。むろん、彼らには罪はない。TBSに“ヤラされている”に過ぎないのだから。すべては演出の問題だ。
‥とはいいつつ、司会で大のG党でもある中居正広のリアクションは毎年興味深いし、今年は吉岡里帆がゲスト出演するそうなので、舌打ちをしながらも、なんだかんだで視てしまうのだろうが。
今年は何を語る?
この番組が始まった2010年。大の「F党」筆者は、狂喜乱舞した。
4球団競合の末、斎藤佑樹の交渉権獲得に成功。2位に智弁の西川遥輝、3位に東洋大の乾真大、4位に九産大の榎下陽大と続いた。まず、斎藤で話題性は申し分なし。他にも大学球界の実力派投手を二名獲得し、あの当時から将来の“人気者臭”がプンプン漂っていた西川と5位指名の谷口雄也の、高卒イケメンコンビ‥‥。
とりわけ、榎下は1位指名を検討していた球団もあるほどの逸材。彼を4位で獲得できたのは、望外の歓びであった。私は2010年のドラフトに「120点満点」を与えたーー
あれから7年経った今、斎藤は計15勝に留まっており、乾はわずか1勝で巨人に渡り、榎下は今オフ、戦力外通告を受けてしまう。ただひとり、西川はチームの主力に成長したが、トータル的にみれば、やはり大成功のドラフトだったとは言い難い。
ドラフトの難しさを、私は改めて思い知らされた。いかにアマチュア球界で名を馳せようとも、プロの世界で活躍するのは難しい。
考えてみれば、昨年注目を浴びていた5球団競合の創価大・田中正義は今シーズン、1軍戦での登板はなし。川上憲伸二世と謳われた明治の柳裕也(中日)も、今季1勝。田中と同じく大抽選会が行われた千葉ロッテの佐々木千隼も、4勝7敗で負け越し‥。誰一人、「即戦力」となった者はいない。
一昨年も高橋純平のクジを引き当てるなど、近年、福岡ソフトバンクの強運ぶりがやたら目につく。ただでさえ強いのに、本当、よそ者からみると勘弁してほしいが、田中も高橋も(今シーズンの登板は1試合)まだ結果は残せていない。
いくらソフトバンクの選手層が分厚く、育成や完治に時間をかけられたとしても、力さえあれば、すぐにでも上からお呼びがかかるはずだ。高卒とて松坂大輔や田中将大、ダルビッシュ有だって、ルーキーイヤーから一軍戦力となっている。本当に力のあるものは皆、大抵そうだ。
奇しくもハムがクジを外した田中正義と高橋純平‥。今はプロの壁にぶち当たっているのかもしれない。が、彼らが数年後に活躍したとして、ふたたび「120点ドラフト」と再評価される可能性を秘めているところも、このドラフトの面白さではある。
はたして今年はどんなドラマが生まれるのだろうか‥。「清宮効果」もあって例年になく緊張しているドラフト会議の行方を、私も固唾を呑んで見守りたい。