とうとう10連勝にまで伸びた。
大谷翔平・有原航平の二枚看板がほぼ同時期に本来の調子を取り戻し、3年目の高梨裕稔も先発転向後、水を得た魚のように勝ちまくる‥‥。そら強い。対照的に、一向に調子の上がってこないメンドーサと吉川光夫の「マイナス分」を感じさせない勝ちっぷりである。
北海道移転後、たしか9連勝以上で「V確率100%」なんて、景気のいい見出しも躍っていたが、現実をみれば首位ソフトバンクとは4日現在、まだ6.5ゲーム差‥‥。
依然、厳しい数字に変わりはないけれども、球団記録の14連勝と、日本一になった2006年の11連勝は、ともに「交流戦」にまたがって生まれたもの。つまり、2016年の大型連勝と同じ‥というわけだ。これは、もしかすると、もしかするかもしれない。
しかし、当然ながら明るい話題ばかりでもなく、増井浩俊の二軍降格、中田翔のスタメン落ちなども、この間にあった。‥くしくも昨年の「プレミア12」において、日の丸を背負った両選手。とりわけ中田は、どうなんだろう‥‥。
ハムファンは口にこそしないが、不満を持っている。云いたいことも、彼に対しては山ほどある。おそらく、他球団のファンが見る以上に、中田が4番を打つような成績‥いや、器でもないということを、実はハムファンがいちばん判っているのではないか。
昨年でいえば、30本塁打(自身初)に102打点(リーグ2位)。トータル的な成績をみれば、たしかに、まずまずやっている‥ように見えるが、この“数字”だけには表れない「勝負弱さ」を、多くの試合を観戦してきたハムファンが、誰よりも理解している。
『それなら102打点もあげられたのは、何故なのか?』の問いにお答えをすると、これは私も不思議になって独自に調べてみたのだが、「ビハインド時」においての得点圏打率が、彼の勝負弱さを如実に物語っていた。同打率の通算が.281も、チームが劣勢に立たされている際の打率は、わずか.200(本塁打0)にしか満たなかったのである。
いわゆる『起死回生』などと呼ばれる値千金弾が、2015年の中田翔にかんしては、一本も生まれなかった。逆にチームがリードしているときの得点圏打率は.333(本塁打6)と、一気に跳ね上がる。いかに、彼が“周りに乗せられて”打っていたかが判る数字だ。
そうした負の要素も、サムライジャパンを救う一打を放ち続けた「プレミア12」での活躍によって、いくらか払拭できたのかと思いきや、やはり、中田はナカタのままだった。
全日本の4番?‥冗談じゃない。山田哲人が柳田悠岐が筒香嘉智が、あれだけ打って一体いくらもらっているんだ?推定2億4000万とも云われる高額な年俸に見合う活躍を、「ハムの四番」はできているのかーー
周囲の過剰なまでの中田の高評価ぶりに、しばしば私は首をかしげる。彼は、そこまで持ち上げられるような選手ではない‥‥。繰り返す。ハムファンこそが、それをいちばん理解している。
中田離脱後は、陽岱鋼が4番を務めた。しかし、その程度の荒療治ではダメだろう。陽は、年齢的にも先輩なのだから、中田も仕方ないと思える。思えてしまう。
‥となれば、今こそ『4番・大谷翔平』。今の、この“好機“を逃せば、もうハムでは見られないかもしれない。年下の大谷に4番の座を奪取されたとなれば、さすがに中田の闘志にも火がつくはずだ。まさに一石二鳥。
‥欲をいえば、『4番・ピッチャー大谷翔平』。
エースの称号を手にした男が、プロ野球の舞台で4番を打つ。指揮官の言葉を借りれば、これこそ本当の「ロマン」である。