野村沙知代が亡くなったとき、以前の「サッチー・ミッチー騒動」を懐古する局も少なくなかった.....
さすがに朝のワイドショーを視る機会は今はもうなくなったが、すでに青年期でいたのにも拘わらず、あの当時は不思議と、けっこう目にしていた憶えがある。母親が生きていた頃だから、茶の間のテレビのチャンネルが必然、そこに合わせられていたのかもしれない。
だから、同時期の“ネタ”は脳裏によくインプットされている。超熟女バトルに匹敵するインパクトがあったのは1998年、Toshlの「洗脳騒動」である。言わずと知れたX japanのボーカル‥。彼がある団体の主宰者に“マインドコントロール”されているのではないかと、ずいぶん大きな騒ぎになっていた。
その疑惑を自ら否定するため、連日のようにテレビ出演していたToshl。X時代(出演時は解散後)の面影はまるでなく、完全に目がイッてしまっている。驚いたのはコメンテーターの追及にも淀みなく受けごたえをし、あまりに饒舌であったこと。その様は、今だからこそ言えるが、某カルト集団の広報部長の記憶を呼び起こさせた。
いつしか団体主宰者もToshiと一緒に出演するようになり、格好の「宣伝の場」となってしまっていたのは否めない。しかし、一方でそれからToshlのことが気になってしまい、Xのファンとなった筆者のようなファンも、少なからずいるのではないか。これを皮切りにして、とにかくエックスには“ドラマ”が多すぎる。当然、元々のファンからすれば『トシ帰ってこい!』となったのだけれど。
別に犯罪行為に手を染めていたわけではないし、身内との確執も我々には関係のないことで、夫婦が涙ながらに“真実”を訴え続ける姿に、正直、筆者は胸うたれていた。‥そう、このときToshlは結婚して間もない妻とともに(現在は離婚)、コメンテーターたちと議論を交わし合っていた。
『純粋で素直なところが好き』
彼が彼女、守谷香を妻に選んだ理由。‥なんとなく解かる気がする。元アイドル歌手でありながら、良い意味で芸能人オーラをまとっていない。澄んだ綺麗な瞳をし、とろけような甘い声の持ち主‥。たしかに癒される。
したがって、あの天女のような女性が彼に暴言暴行を繰り返していたなど、にわかには信じがたい。‥後年に発売されたToshlの告白本(※1)や【金スマ】も僕は確認したけれど、彼女が諸悪の根源であるかのごとく、一方通行で伝えられていたのが、少し哀しかった。
できれば、彼女も「被害者」であったのだと、自分は思いたい。でなければ“出会い”の時点から彼女の存在も、結婚前に交わした愛の契りもすべて、否定しなければならなくなる。少なくとも交際をはじめた当初は、互いが愛し合っていた‥‥そう思わないと、そう思ってあげないと、やりきれない。
こんなことを書いてXファン及びトシのファンから顰蹙を買うのは承知のうえ。特段、彼女を擁護したいわけでもない。ただ「憎しみ」からポジティブなものは何も生まれないと、僕は言いたいのだ。一度は愛し合った仲、やはり別れのときは相手に「感謝」をして、どの方も別れたい。
《参考》
(※1)洗脳 地獄の12年からの生還