パ・リーグの新人王争いは混沌としているというか、いずれの選手も決め手に欠けるのだが、セ・リーグは資格を残す2年目の村上宗隆(東京ヤクルト)で、ほぼ決まりとみていい。
18日現在、打率は.232ながらホームラン35本、94打点。まさに「THE・大砲」といった塩梅で、これだけの長打力があれば、打率の低さも多少は目をつぶれる。
それにしても、ずいぶんと早く頭角を現してきたものだ。ドライチ(2017年)だけに高校時代も相当名を馳せた選手であったのは間違いない。だが、全国的な知名度は同い年の清宮幸太郎(早実)や安田尚憲(履正社)、彼らの方が圧倒的に高かったわけで‥。蓋を開けてみたら、世代をリードをしているのは現時点で村上。だから、ドラフトはおもしろい。
74試合の出場で打率がちょうど2割。本塁打7で30打点。同日時点での清宮の成績。たしかに村上の成績に比べたらだいぶ霞んでしまうが、高卒2年目の成績とすればマズマズなのではないか。彼の場合、事前の“期待値”が高かったから、物足りなく感じる向きの方もいるだろうけれど。‥実際、私も村上クラスの数字を、清宮には期待していた。
能力に大きな違いはないとすれば、やはり、清宮は度重なる故障が尾を引いてしまった恰好。‥しかし、今は長いプロ野球人生のまだ「序章」にすぎない。新人王に打撃タイトル獲得ともなれば、村上ももう大打者の仲間入りだ。来季以降、清宮の“巻き返し”に期する。
ということで、今回は少し「高卒2年目」にフォーカスしてみたい。ある程度打席(50打数以上)に立った者の歴代ファイターズの主力選手、2年目当時の成績をここに挙げてみる。
近藤健介 .152(10安打) HR 0 RBI 2
《備考》淺間大基 .191(21安打)HR 1 RBI 9
現時点での清宮以上にホームランを放ったのが、田中幸雄。ちなみに誕生日が12月だから、1年目に記録した1本塁打と合わせ、10代ですでに二ケタ放った換算。ただ、清宮は1年目に7本打っていて、一概にどちらが上とも言えない。
まもなく引退のトキを迎える田中賢介は、主力選手の故障が相次いてしまったチーム事情から、2年目に早くもクリーンナップの一角を担った。からきし打てず、ほんの一時期だったが‥。
現役メジャーの大谷翔平は、やはり、最初から突出した数字。投手で二桁の勝ち星をあげ、かつ10本も本塁打を放ったのは、あのベーブルース以来‥というのは、当時もずいぶん話題になった。
(備考)として淺間の成績を記したのは、ワケがある。彼は高卒1年目に37本のヒットを放ち、打率.285を記録(0本塁打 10打点)。上々のスタートを切ったのだが、2年目にガクンと数字を落としてしまった。ここに挙げた選手では、近藤健介がほぼ横ばいの成績ながら、淺間ほど急落させたパターンは、わりと珍しい。
プロは3年成績を残して一流と言われるが「継続」の難しさは、確かにあるようだ。