高校野球フリークではない筆者、深紅の大優勝旗が初めて東北勢に渡ったことを知った........
なんというか、意外? 近年は東北の高校出身者からメジャーリーガーを複数名輩出しており、強豪校が多いイメージもあったから。聴けば、決勝までいって敗れたケースが12回もあったという。‥なるほど、確かにそれなら東北民の方々の感慨も一入だろう。
直近では「金農旋風」の記憶も新しい、2018年の金足農業。その大会はバッチリ観ていた、ミーハーなワシ(笑)。今年、金農と決勝で対戦した大阪桐蔭の柿木蓮と、のちに千葉ロッテに入団した藤原恭大の一軍での「同級生対決」実現に、胸を熱くした高校野球ファンも多くいたのではないか。
だが、彼らよりも同年の聖地を沸かせ、目立っていたのは中日に入った根尾昂であり、金農から唯一プロ入りを果たした、吉田輝星である。「投手転向」の根尾のインパクトには敵わないまでも、今年、地味ながら吉田も新境地を拓きつつある――
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週刊ベースボールにあった、かつての師・荒木大輔氏の「吉田評」が興味深かった(※1)。
いわく、吉田は「抜く」ことができない。常に100%の投球しかできないから、もともと「抑え向き」であったのだと‥。そして、いちばん合点がいったのは元ハムの投手・武田久氏に喩えていた点である。
言われてみれば彼も今の吉田同様に、スピードガン表示には表れない速さがあった。当時よく言われた「浮き上がる」、あのボールの軌道をイメージすると解かりやすい。いわずもがな中継ぎ・抑えで一時代を築いた稀代の名投手。吉田が本当に「久の道」を辿ってくれたらどれほど頼もしいか。
甲子園を沸かせた選手らしく、以前『ぶっ倒れるくらい暑い方が好き』そう夏好きを口にしていた吉田。あらためて中継ぎに専念した8月はここまで7試合に投げて、計9回を1失点(23日時点)。課題の制球面も1与四球と安定してきている。徐々に重要な場面を任されつつあり、このまま信頼を勝ち取りたい。
《参考》
(※1)週刊ベースボール 2022年 08/29号 [雑誌]