センテンス・オータム

ディープ・マニアック・鋭く「DMS」 様々なアレについて... (シーズン中は野球ネタ多し)

「あいのり考」

まだ十代後半だった頃の話。ひそかに想いを寄せていた子の電話口から「Time goes by」の音源が漏れていた。

 

云わずと知れたEvery Little Thing(以下ELTの名曲である。本当の初期の【Shapes Of Love】や【出逢った頃のように】といった恋の歓びを唄った曲たちと比べると、らしくないというか、別れを前にしたカップルをイメージさすもので、どこか哀しげ。

 

その子には、当時、彼氏がいたと思う。なのに、私によく、たわいもない用件で電話をしてきた。もちろん、それでも嬉しかったが、おそらく私の想いにも薄々気づいていたであろう彼女は、別にカレシがいながら、なぜ頻繁に電話をよこしてきたのだろう…

 

もっともあの頃は、LINEなんて便利なものもなかったし、Emailも現在ほどは普及していなかった。「通話」しか、さしたる手段がなかったというのもあるけれど、まったく好きでない男には、電話などしてこないはずだ。

 

 

もしや、あのとき向こうの部屋でかかっていた【Time goes by】は、今、付き合っているカレシとうまくいっていない‥なにか、彼女なりの“メッセージ”であったのか?!まだ青かった私は、彼女のそれに、気づいてはやれなかった....

 

我ながら、展開が飛躍しすぎたと思う。曲は売れていたし、ELTも絶頂期。私は、暇つぶしとなる恰好の相手だったのだ。‥きっとそう。しかしながら、あの日にかぎってなぜか鮮明だった、電話口から漏れ聴こえてくる【Time goes by】という曲、音色を忘れられずにいる。

 

 

思い出深いELTの曲に、もうひとつ【fragile】がある。

恋愛観察バラエティ?「あいのり」の主題歌にもなった曲。番組自体は、たしか9年くらい続いていたが、筆者がいちばん“観察”していのは【fragile】のときで、太った‥失敬、ふくよかな関ちゃん(♂)なんかが出ていた。当時は私もハマって、毎週月曜、欠かさず視聴。

 

関ちゃんは、自分と同年齢くらいだったはず。芸人志望の人で、お世辞にもイケメンとはいえないキャラであったが、ゆえに応援したい男でもあった。なかなか「運命の人」と巡りあえず、狭いワゴン車での旅を、一年近く続けていた....

 

 

あいのり 1999-2009 THE BEST OF LOVE SONGS

 

ふりかってみるとだが、彼のような枠が、男側にはかならず「一席」設けてあった。単純にモテ冴えないヤローが、いかにして不釣り合いとも思える美女と愛を育んでいくかを見せる方が、“演出”の一環として面白いからだ。してやったりのフジテレビである。‥栄えあるその「初代」に選出された関ちゃんは、今どこで何をしているのだろうか。

 

あの場に大マジメに恋人を求めにきている女性は、さすがにいなかったと思うけれど、くだりの枠のせいで、イケメン枠が一席、自然消滅してしまう女性陣には、いい迷惑だったろう。それでなくとも1/3、もしくは1/4の確率の中で、キスするお相手を選ばないといけない、かなりシビアな世界なのだから。

 

一回、友達同士か何かで応募してきた女ふたりが、直哉というミュージシャンに同時告白をし、ともに振られ、仲良く帰国したシーンを見たことがある。アレなんか‥「もうこれ以上ワゴンにとどまっても、イイ男なんて一向に現れないから、一緒に帰ろ!」的な、半ばヤケッパチごとくな行為に、私には感じてしまった。

 

一方の女性メンバーには、現役のモデル枠とか女優の卵枠が常時存在。ウハウハだったのは、視聴者も含めて、けっきょく男の方だけである。