萩原健一氏の訃報の際、以前、氏とドラマで共演していた水谷豊(66)の名も各所で取り上げられていた......
【相棒】という“当たり役”を得て、平成の世も変わらず人気俳優だった彼と、近年すっかりテレビでは見かけなくなった萩原氏とのコントラストが大きすぎて哀しく映った。
そのドラマ【相棒】にかんしては、毎年元旦に放送されているスペシャル版を観たりするのはあったけれど、本格的に見だしたのは昨年10月期から始まった「SEASON17」からだった。
なぜ、これほどまで多くの人が【相棒】を視るのか、前から気になっていたのもあったし、連続ドラマとはいえ、基本一話完結型の刑事モノは、元来飽きっぽい筆者とも相性が良い(失笑)。だから今回こそはと、水曜21時から毎週、がんばって視てきた。おかげで少しは詳しくなったつもりだが、まだまだ新参者。語れるほどでもなく‥‥。
しかし、である。新参者には新参者なりの視点というものもあるはずだ。今記事で、私はその部分について触れてみたい。幸運にも12日(日)にテレビ放映されていた【相棒-劇場版-絶体絶命!42.195km東京ビッグシティマラソン】を視聴してみると、現代版との違いが浮き彫りとなり、新たな発見もあって愉しかった。
公開が11年前となり、まず相棒のデカがちがう。当時は寺脇康文だった。今の反町隆史とはまた違ったタイプの、いわゆる型破り系。考えるよりも、行動派。対極な杉下右京との相性もなかなかに良い。また、反町演じる冠城亘が独身だったのに対し、寺脇氏の亀山には妻がいた。そうした匂いが皆無だった杉下はもちろん、家庭を持つ主要人物を見るのは初めてだったかも。
メカに強い原田龍二が青木年男(浅利陽介)のような役で出演し、料亭の女将が鈴木杏樹ではなく、高樹沙耶‥‥。このあたりのキャスティングは、かつての【刑事貴族】を彷彿とさせる(笑)。今は失き、六角精児の鑑識ぶりも拝めてよかった。
逆に11年前から変わっていないのは、伊丹と芹沢。役の影響か、それでも芹沢にかんしては今より控えめな気もした。『特命は暇か?』の角田は、もう当時から同じセリフを口にしていたとは! そして、特命係の部屋をいつも覗いているあの大柄の刑事、小松役の久保田龍吉氏は、この頃からもうすでに 覗いていたのか!
‥とりわけ氏の存在は「SEASON17」で初めて知ったのだけれど、毎回気になって仕方がなかった。一体なんのために、部屋の様子を窺っているのだろうか。新参者にはその理由が一切わからず、何かミステリアスで惹かれる(笑)
キャストのちがいはコレくらいにし、本編の話題も少ししておくと、ストーリーが抜群によかった。別にあそこまで豪華キャストで固めなくても十分なほど、内容面も充実。
ガラケー片手に走り回る姿には、いささか時代を感じるものの、動画サイト含むSNSを犯罪に利用していた点や、大掛かりなマラソン大会をテロの舞台に選ぶなど、現代社会にも通ずるものばかり。真犯人を逮捕したら、それで終わりではない‥‥人間味が出る後のエピソードにも「らしさ」が溢れていた。
3月に放送していた劇場版第4作目もそうだったけど、スクリーン上での杉下右京は、どうも“命がけ”のようだ。レギュラー放送では見られない、体を張った“右京さん”の姿に、熱いものを感じた。