東洋大時代から前評判のよかったドライチコンビ、上茶谷&甲斐野‥‥。彼らが開幕からプロでバリバリやれているところを見ると「即戦力」が羨ましく思うときも、正直あった。
しかし、どちらかといえば『終わりよければ』の世界。ファイターズのドライチは未来のエースを目指して、ファームで研鑽を積む。3日、吉田輝星が「プロ初先発」のマウンドに立った――
強風吹き荒れる、極寒の鎌スタ。対巨人戦。
1、2番をそれぞれセンターフライ、ショートゴロに仕留める。2死から左前安打、四球で立ち上がりからピンチを背負うも、最後は三振で退けた。初回は無失点。
初先発というのもあってか、前回までの「熱投」とは幾分趣きがちがった。ペース配分を考えて意識的に抑えていたのか、あるいは寒さの影響があったのかは分からない。けれどもランナーを背負ってからは、いつもの力強い投球が見られた。外角へ逃げていくスライダーで三振を奪ったシーンに、成長の跡も。
2回。先頭打者を直球で三振。次打者にヒットを打たれるも、後続を三振とサードゴロに仕留めてチェンジ。この回もスコアボードに「0」を刻む。事前報道では、次の3回までとされていた。初先発を“完封”で飾れるか。
先頭打者にセンター前に運ばれて無死1塁。犠打で送られ、ふたたび得点圏に走者を背負い、打順は中軸へ。3番・マルティネスのバットをへし折るも、ライト前に運ばれて、失点‥‥。次打者のとき、盗塁を試みるが「ゆあキャノン」炸裂!これで二死。田宮が吉田輝を救う。最後は高めの直球を振らせて三振。
この日の吉田輝は予定の3イニングを投じて1失点。結果的に敗戦投手となってしまったが、ずいぶんと収穫もあった。まず課題だった制球面が向上していた点。ストライク先行で、1与四球(これもフルカウントまでいった)にとどめている。さらに、初回の変化球で三振を奪ったシーン。ストレート主体ながらも、効果的に変化球を織り交ぜていく投球に、本人が手応えを感じてくれていれば嬉しい。
二軍戦はここまで3試合の登板、計7イニングを投げて3失点(4/3現在)。この結果はともかくとして、全投球の9割がストレート‥。それで抑えてしまうのが、彼のイチバンすごいところ。プロでも“輝星らしさ”は失われていない。とりあえず順調に階段を昇っている感じだが、一部ではこんな気の早い報道も......
演出家の栗山監督なら、やりかねない。むしろ少しでも早く、一軍デビューさせたくてウズウズしている栗さんなら、この時期が“限界”だろう(笑)
球団の伝統的にも、過去鳴り物入りでやってきたダルビッシュ、有原、大谷(投手)のデビューも交流戦の前後。吉田輝も、これと同じレールの上に乗る可能性が極めて高い。
あと二か月弱程度の期間で、どこまで仕上げられるか‥‥。日本中を熱狂の渦に巻き込んだ「聖地」で躍動する彼の姿を夢想しながら、今後も追い続けていきたい。
PS.二軍戦終了後、仙台の楽天戦をスマホ視聴した直後、浦野被弾‥‥。“親子”で敗けて、しばし茫然自失(苦笑)。このあたりはまた次回、詳しく触れたい。頼んだぞ斎藤!