またもや「モヤモヤ」だ――
3日の巨人阪神、伝統の一戦。決勝点をたたき出したのが初回に放った中田翔のグランドスラム。同じ頃、大阪で二度の得点機で凡退したのは対オリックス戦、日本ハムの4番・郡拓也である。
とりわけ二度目の打席は下位打線からつくって、迎えた満塁の好機。‥見逃し三振だった。今さら中田をどうこう言うつもりはないのだけれど、そのコントラストがあまりに強すぎた印象。こうしたモヤモヤを、我々は今後、幾度味わっていくことになるのだろうか。
巨人で就いた4番打者には「第〇〇代」という肩書がついてくる。さしてクローズアップされない日本ハムでも、自分調べで100人ちょっとくらいまでは追えていたが、最近はどうでもよくなった(笑)
まだ始まったばかりの今シーズンだけでもすでに松本剛、ヌ二エス、前述の郡と「新4番」が続々と誕生し、おそらくこれからも新たな選手がそこに名を連ねていく。ハム球団においての4番打者とは、そんな程度の軽いノリ‥もとい扱いであるのだ。
当初のBIGBOSSの予定では、五十幡亮汰を据えるつもりだったらしい。従来の「像」とはかけ離れている。たまたま観ていた伝統の一戦で解説を務めていた工藤公康氏も本来、チャンスが回ってきやすい6番あたりの打順に強打者を置きたい‥‥といった種の話をしていた。これはBIGBOSSの理念とも符合する。
だが、とは言いつつも前年まで指揮をとっていたソフトバンクでは、4番には「しっかり」柳田悠岐を据えていたし、今のハムのように特段日替わりだったわけでもない。ハムに柳田クラスの選手がいないと言ってしまえばそれまでだけれど、柳田でなくとも、やはり打線にも確固たる「軸」が欲しいと思ってしまう、今日この頃。そこさえも固定できていない状況だから昨季といい、毎試合のごとく、打線の編成に苦労をする。
この御方は第25代4番打者
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ハム時代、中田があれだけの低打率で打点王を三度も獲得できたのは、前を打つ打者の出塁率の高さのおかげ。勝負強さを発揮できたのだって、彼が4番という打順にずっと置かれ、いわば走者を得点圏に置いた打席が多く回ってきたことの証左でもあるのだ。されど4番打者である。
理想は中田‥ではなく、巨人の岡本和真。くだりの中継を観ていて本当に羨ましかったのだが、打席内で醸し出すいかにも強打者然とした、あの重厚さたるや‥。岡本にかんしては「軸」よりも、打線の「核」という表現の方が相応しいか。
『不動の4番』この響きに、古今プロ野球ファンたちはいくつになっても格別な想いをいだいてしまう。