センテンス・オータム

ディープ・マニアック・鋭く「DMS」 様々なアレについて... (シーズン中は野球ネタ多し)

「漂流教室」が教えてくれたこと

今を生きろ この一瞬を生きろ....

 

 

近頃はめっきり視なくなってしまったが、私はテレビドラマ好きだ。元々、空想の中で生きている人間だから、現実世界では起こりえない、そういった「創作」の類に惹かれるのは、むしろ必然といえる。

 

半生でもっともハマったのは、野島伸司シリーズ。お気に入りの作品がありすぎて“ベスト”を挙げるのが困難なほどである。だが、そこへ割って入るほど‥筆者が夢中になったドラマが、02年1月からフジ系で放映されたロング・ラブレター 漂流教室なのだ。

 

タイトルでも判るとおり、 楳図かずおの漫画をドラマ化したものであるが、原作とはかなり設定が異なっているらしい(筆者は漫画の方を目にしたことがない)山田孝之水川あさみ鈴木えみ香里奈らといった、現在もさまざまなジャンルで活躍する俳優たちが駆け出しの頃に出演していたことでも、有名になった作品。

 

しかし、彼らよりもW主演となった窪塚洋介常盤貴子‥両名優の演技が、本当に素晴らしすぎて泣ける。特に、それまで見たこともなかったくらい“自然”な演技が光った窪塚。「ロングラブレター」を視て、彼を好きにならなかった人は、おそらくいないのではないか。

 

窪塚演じる浅海暁生は、高校教師。巨大地震後に、人類が滅亡する前の日本の横浜へ、学校ごとタイムスリップしてしまった生徒たちを、懸命に守りぬくといった役柄だ。この展開だけをみると、何かファンタジックなものを連想させるが、実際はそうではない。この作品には「現代」に生きる私たちへメッセージを贈り、向かうべき方向性を教示してくれる、かなり“リアリズム性”の高いドラマでもあったのだ。

 

 

ロング・ラブレター~漂流教室~ Vol.2 [DVD]

 

冒頭記した『今を生きろ』は、浅見がよく教え子に口にしていた言葉。人間、明日どうなるか分からない。突如、荒廃した地球にタイムスリップにすること‥は、さすがに起こらないとしても、いつ事故や災害に巻き込まれてしまうかなんて、誰にも分からないのだ。だから...

 

今を生きろ、この一瞬を生きろ

 

今を精一杯生きる。いつもお世話になっているあの人へ『ありがとう』と、今、感謝の気持ちを伝え、想いをよせるあの子に『好きです』と、勇気をだして一刻も早いうちに告白をする。もう、それが二度と叶わなくなってしまったドラマの中の彼らのように「後悔」をしないためにも。

 

 

‥考えてみたら、劇中の設定だと、時空を超えた先は2020年だった。“リアル”では東京五輪が開催される年に、地球はまるで火星のような砂と岩だけの大地に、変わり果てている。化学兵器の恐ろしさ、一向に止まない環境破壊についても、浅見たちは今を生きる私たちに警鐘を鳴らしていた。

近年、立て続けにあらたな新幹線が走りはじめた日本。ドラマでも「いのり」という名の新幹線が開通していた模様だったが‥‥。世界規模のイベントを迎える頃、今よりもっと住みやすい、地球が美しい星となっているよう、できることから個人単位でもしていきたい。