ひとりの女性に向けて、ほとばしる愛を唄った曲....
その曲がかかった場所は、野郎同士が熱い闘いを繰り広げる京セラドーム。いささか“不釣り合い”であった。
尾崎豊の、シェリー。
オリックスバファローズの新鋭・若月健矢が自身の「登場曲」として使用していたのである。選手登場曲にOZAKIを持ってくるとは‥‥。してやられたり。
シェリー いつになれば 俺は這い上がれるだろう
シェリー いつになれば 俺はたどり着けるだろう
なるほど聴き方によっては、今は苦難の中にいながらも、これからレギュラーに上りつめていく男のプロセスを唄っているように‥聴こえなくもない。
一時期、尾崎にハマっていた筆者も「登場曲」にフィットしそうな曲がないか、記憶を張り巡らしてみたけれど、これがなかなか出てこない。【15の夜】は、健全なスポーツ選手に不良(ワル)な印象を植え付けてしまう可能性大だし、【I LOVE YOU】だと球場全体がムーディーになって、きっと野球どころではなくなるだろう‥。
こう考えると【シェリー】のサビの部分を持ってきた若月は捕手らしく、鋭い「選曲眼」の持ち主だ。‥‥かつて繁美夫人に捧げたものとしても有名な同曲。はたして弱冠ハタチの若月は、ファンなのだろうか。個人的にも気になるところだ。
先日、尾崎豊のひとり息子・裕哉(ひろや)氏が、テレビ番組に出演。ネットニュースなどでも取り上げられていた。裕哉氏が司会者と『父親が亡くなったときの年齢を越えた』そんな会話をしていて、私も感慨に浸ってしまった。
あまりにも早すぎる、26での死‥‥。生きていれば、現在50。50歳になった尾崎は、一体どんな愛のカタチを奏でていたのだろう。
筆者が好きな曲のひとつ【きっと忘れない】。これにはこういったエピソードがある。尾崎が自宅でこの曲を弾き語りしている最中、まだ生まれる前の裕哉氏が、繁美夫人のお腹の中の反応していた‥という。
24日に27歳の誕生日を迎える裕哉氏に、愛情を込めて捧ぐ父・尾崎豊の姿を、私は創造して愉しむことにした。
生まれてきた喜びに 君が包まれるように 今日という日を祝うよ
Happy Birthday to You
≪参考文献≫