『あのとき、あぁしてりゃ良かったな』なんて後悔が、誰しもひとつやふたつくらいあると思う。
僕にも数多くあるけれど、ひとつ、挙げるとすれば【金八先生】の生徒役オーディションに応募しなかったことか。筆者はちょうど「金八4」の連中世代にあたり、ドラマに先だって一般公募も行っていた。あの千載一遇のチャンスを逃したことが悔やまれる。
僕にもう少しの行動力があったなら、小嶺麗奈や反田孝之らと机を並べていた‥かもしれない(笑)。とにかく行動に移さなければ、“可能性”すら生まれないのだ。
もっとも、もともと子役時代から活躍していた輩はまだしも、金八から叩き上げで有名な役者になった者はほとんど見当たらないし、「デビュー」の場としてはどうかと、今になって思うこともあるが。
当該金八主題歌の【スタートライン】という曲は、好きだった。個人的には馬場俊英よりも、海援隊。哀愁も漂う【人として】とか【贈る言葉】と比べると、爽やかなメロディライン。オープニングで、いきなり先生を胴上げしたくなる気持ちも解かる(笑)
そういえば先日のセンテンススプリングで「紅白に出てほしい、出てほしくない歌手ランキング」なる企画があったけれども、しいていうなら、自分は海援隊に出場してほしかったかな。曲はもちろん、新年を迎えるに相応しい【スタートライン】を希望とする。
「文春」繋がりで、いしだ壱成(42)の同棲を報じる記事があった。名づけて
いしだ壱成が「未成年」と「ひとつ屋根の下で」
‥これにはやられた。そう、過去の出演作品のタイトルを、捩ってみせたのである。
この頃はよくドラマを視ていた時期であり、僕自身、好きな作品も多かった。とりわけ、いしだ壱成が出演するドラマは本当に多かったのだが、これは単に偶然ではなく、彼が野島伸司脚本の作品に度々出演していたことも起因している。「視聴率男」の異名をとり、ノリに乗っていた頃の野島氏‥。氏が創り出す、多種多様な“世界観”に、僕は惹かれていた。
男女の恋愛模様を軸とするトレンディドラマ全盛の時代にあって【ひとつ屋根の下】は、新鮮だった。7、80年代によくみられた「家族愛」がテーマな作品を、まさかの【月9】で。この前々年に放送、金八の武田鉄矢を恋愛劇に起用した【101回目のプロポーズ】しかり、この突飛な発想が、野島氏の真骨頂。
【ひと屋根】は筆者が、唯一ドラマを視て、大泣きしたドラマ。小雪が貧血で倒れ、兄の達也が自ら体を張って輸血を施すシーン‥。
あんちゃんの血はあったかいかい?
そこには、おもいっきり愛があるからな
これには伏線があり、一から話すと長くなるので簡単にいうと、実際には兄妹たちと血の繋がっていなかったことで孤立感を深めていた小雪にみせた、不器用なあんちゃんなりの愛情表現だった。
‥小さな町医者で、かつ素人の判断のそんなコトをして医療上の問題はなかったのか?だなんて、今になって思うけれど、あの当時の僕も、まだ純粋だった。
小雪役の酒井法子は同ドラマで女優としても名をあげた。【ひと屋根】を愛でていた視聴者が、酒井法子を好きにならないはずがない(笑)。それくらい心の澄んだ、ピュアな女性を好演していたのである。 《続く》