センテンス・オータム

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File.4【逃走犯の行く末】

富田林署から逃走した容疑者が24日夜現在も、確保されていない......

 

mainichi.jp

 

今春にも造船作業場で勤務していた受刑者が逃走をするといった事件が起きたばかり。とりわけ今回の容疑者は窃盗以外の重罪でも罪を問われている模様で、近隣の住人はさぞ不安で眠れぬ夜を過ごしていることだろう。

署のセキュリティの甘さが責められるのは当然。しかし、筆者が注目しているのは『どうしてそこまで逃げられるのか?』といった点。別に“罪を犯しておいて”とか、精神論をここで解きたいわけではなく、単純に物理的な疑問なのである。

‥だってそうだろう。これだけ街の至るところに防犯カメラが設置され、SNSも普及した現代社会。誰にも見つからずに逃げ切ることなど、はたして可能なのだろうか。昭和時代に起こった事件とちがい、ハッキリ言って現代(いま)のほうが逃走・逃亡の「難易度」は、はるかに高い。かれこれ2週間近くも行方をくらましている容疑者は今、一体どこで何をしているのか。

 

 

過去のケースでいえば、たとえばオウム事件でも、多くの逃亡犯がいた。この場合は資金や住居面において手助けをする「協力者」の存在が明るみになった。だが今回のケースではそういったものを、あまり多くは望めないのではないか。それに、おもいつくかぎりの関係者には、警察だってもう当然当たっているはずだ。となれば、自力で逃げるしかない。

 

もし彼が女性だったら‥コトは厄介になっていた。オンナを武器に、一説には性行為の巧さを武器に、かくまってくれる男を転々としながら、15年近くも逃げ切ったのが福田和子(故人)。罪人と知らなかったとしても、決して“見てくれ”も良いとはいえない、三十路の行きずり男を拾うお人好しな女は、さすがにこの世の中にはいないだろう。

 

 

I am ICHIHASHI 逮捕されるまで

 

 

ひとつ気になったのは、容疑者が時おり「化粧」をしていたという情報。‥だからといって安易に“女装”逃亡と決めつけてはいけない。これで思い出すのは、市橋達也。彼もまた、2年7カ月にわたる逃亡生活を送った。まことしやかにその説が飛び交っていた時期に、女装姿を想定した写真まで作成していたのは記憶に新しい。ところが、彼の供述内容や、のちに綴った手記によれば女装の事実はなかった。

 

彼は元々大柄でヘタな女装をすれば逆に目立ってしまう。富田林の逃走犯はわりと小柄な模様で“うまく”やれば街中に溶け込むかもしれない。となれば、女装姿は云々として、勤務する際に身元を詳しく明かさなくて済む、“そういった方々”が多く生息する場所に潜伏している可能性なら、ある。

 

女装ではなく、整形を繰り返していたという市橋の手記。逃走の瞬間から克明に記しており、ロビンソンクルーソーさながら、無人島で一人で暮らしていたという逃走力‥もとい「生命力」の高さには誠に驚愕した。もし、純粋な“読み物”であったなら、これほど面白い内容のものはなかっただろう。後年、事実に基づいて実写作品化されたらしいが、それも頷ける。

あの市橋ほどの行動力や生命力を、今回の容疑者はさすがに携えていないだろう。起きてしまったコトは仕方ない。物事は少しでもプラスに、そう思いたい。

 

 

《関連》

逮捕されるまで 空白の2年7カ月の記録

(逃走中も仕事に就き、薄いながら恋愛の要素もあった)

 

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