実に美しい写真だ。
半年の長丁場を戦い抜いてきた選手・球団スタッフ、またそれを追い続けてきたファンにとって、もっとも感動的な瞬間といっていいだろう。
‥しかし、次の写真はどこかおかしい。あまり美しくないのだ。
NPB【ここに、世界一がある。】より
勝った方が優勝となる最終決戦、いわゆるひとつの「10.8」そのときであるが、宙にまう長嶋サンの恰好が何か不自然。というか、宙に舞ってない。これを、まがりなりにも「胴上げ」と呼んでいいのだろうか。
‥どうやら、元木大介の仕業らしい。大昔のテレビ番組で自らそう語っていた記憶がある。彼がミスターの足、あるいは足首といったあたりを、最中、掴んで離さなかったのだ。写真では確認できないが、中に写っている“その手”は彼のもの‥。だから、このような不細工な写真になってしまった。
「国民的行事」とまでいわれた、野球史に残る試合。感動的なシーンにいささか水を差す行為をした元木の責任は重大だ。いくら彼がまだ当時、22の若者であったとはいえ、胴上げの主がスーパースターの長嶋サンであることを考慮すれば、絶対にしてはならない“悪戯”だった。空気が読めない「KY」にも、ほどがある。
清原という最大の“食い扶持”を失った彼の露出は、ひと頃に比べて、だいぶ少なくなった。昨年末、久々にONと中居正広、高橋由伸現監督が対談する番組に出演していたので見かけたけれど、なにか中居の緊張をほぐすためだけにいる「お守り」のようなポジショニングだった。
その中居にイジられても、たいした返しもできない。ONにいたっては「元木なぞ」といった感じで、ほとんど目もくれない有様。野球の実力も喋りも、結局中途半端‥。野球もやらない現在は、クセモノでも何でもない。
若鷹軍団からの指名を蹴ったホークスファンの恨み‥は、もう失せたにしても、あのときの「悪戯」は実に罪深いと、晩秋にもなれば今でも時折感じてしまう。