センテンス・オータム

ディープ・マニアック・鋭く「DMS」 様々なアレについて... (シーズン中は野球ネタ多し)

タリウムの女

扉の先‥ネカマの男‥午前2時のチャイム‥‥

 

 

突然だが、これらは「世にも奇妙な物語」にあった作品名である。そして、主演を務めたのが、いずれも椎名桔平だ。彼が出演した作品に、私はハズレはないと思っている。演技が上手なのも、おそらくあると思うが、何より作品自体に恵まれていた。

たとえば広末涼子深田恭子といったあたりも椎名と同じく、過去に4本の作品で主演を務めているのだが、全部が全部記憶に残っているわけでもなく、印象はかなり薄い。その点、椎名のはどれも色濃く鮮明だ。

わりとツウの私から見て「ハズレなし」の法則に当てはまる“奇妙な役者”が、実はもう一人いる。

 

小堺一機。彼は番組がスタートしてまだ間もないころに、3本の作品で主演を務めていた。「思い出を売る男」「待ちぶせ」「モルモット」。それぞれまったく持ち味が異なる作風でありながらも、魅せてくれる。とりわけ「思い出を‥」は、視聴者人気も高かった作品。一昨年に木梨憲武主演でリメイクもされたので記憶に留めている方も多いのではないか。あれの“元祖”が小堺一機だった。

 

このうち、今回少し取り上げてみたいのが「モルモット」。

主人公は街の薬剤師。外面はよくて、住民からの好感度も比較的よかった男には、裏の顔があった。自らが調合した薬剤をヒトで試す‥‥。いわば“人間モルモット”。その効果を確認したいがために、得体の知れぬ怪しいクスリをヒトに与え続けていた。

 

 

ポケットの砂

 

 

‥なぜこの話をピンポイントに取り上げたかというと、類似な事件が実際に起きていたのを思い出したからである。

名古屋の女子大生が以前、高校の同級生にタリウムを飲ませて、重い障害を負わせていた。公判ではタリウムを手にして“テンション”が上がったという、世にも異常な女。‥その時点では殺意はなく「人体実験」のつもりでいたようだ。いずれ明確な殺意を抱くようになる女を、ここで何とか食い止められなかったのかと、特に被害者側はやりきれない思いになるだろう。

 

 

しかしながら、その女子大生‥。すでに実名や顔写真を公開しているメディアも多いが、誠に奇妙である。仮に彼女がO保方氏ごとくな風貌であったなら、また別種の扱いを受けていたかもしれない。ところが公開されている写真では学ランを着こみ、金八先生に登場してくる“腐ったミカン”でおなじみの、さながら加藤優‥。

 

しかも、マリアという名前らしい。ドラマ【この世の果てに】において、主人公のまりあが面接官に「聖母マリア様か‥」そう皮肉られる場面がある。彼女も自分の名前と、「性」そのものが嫌いだった。いろいろギャップがすさまじい。

 

週刊新潮 2017年 3/2 号 [雑誌]