北海道日本ハム制作の映画を観てきたという話を以前にした。そのときの後日談.......
映画館を後にする群衆の一角から、こういった会話が聴こえてきた。
『○○でないと、もう物足りない‥‥他の監督だったら‥‥』
○○の箇所がよく分からなかったのだが、たぶん映画の感想を述べているのだろうと、耳を澄まして彼らの話を聴いてみたら、どうやらボス・栗山英樹について語り合っていたらしい。
話を要約すると、こうだ。ファイターズの監督は栗山監督以外はもう考えられない。この監督、おもろすぎるだろ、と(笑)。もちろん、彼らもFsのファンぽかったから肯定の意味での、「おもろすぎる」だ。
‥‥解かる気がした。栗山野球は非常に“中毒性”がある。たしかに、現時点では栗山氏以外、ファイターズの監督は考えられない。他の人が監督になったら、物足りないどころか、もはやファイターズがファイターズではなくなってしまう‥気もする。どっぷり「栗山色」に染められた、このチームを率いる次の監督は大変だ。
私も映画を観てあらためて感じたのだが、DHを解除して最終回に大谷翔平を抑えで登板させるとか、あんな芸当、他に誰が思いつくだろうか。‥いや、仮に思いついても栗山氏以外に“実行”はできない(笑)。「魅せる野球」という点においては、本当に氏こそ史上最高な監督である。
「栗山流」は、2019年もフルスロットル。斬新な采配ぶりで、開幕から話題を振りまいている。相手打者の打球傾向によって都度、守備位置を変更させる、大胆シフトを敢行。オープン戦だけ‥‥公式戦では、やっても年に数回だろうと予測していたら、おもいっきりモード・ガチ(笑)。指示を出すほうも相当勇気がいるはずだけれど「栗山マジック」は、それだけにとどまらない。なんと「オープナー」を、実戦で用いてきたのである。
別名「ショートスターター」。詳しい説明は以前にもしているので割愛させてもらうが、メジャーリーグで見られた戦法で、国内プロ野球では皆無だった。‥‥いったいファイターズはどこに向かっているのか。目指している先が国内に目を向けられていないのは、確かである。
しかしながら、何をもって成功したと言えるのか、その基準がこと「オープナー」は難しい。筆者が確認した当該試合では、2試合とも敗れている。試合に敗けているのだから、失敗したのかといえば、あながちそうとも言えない。
先発の加藤貴之と、2番手のジョニー・バーべイドが3イニングずつ投じて6回を1失点(4/2 対E)。ゲームは作れているのだ。加藤があのまま続投していたら‥‥という葛藤は、おそらく多くの人が抱いたにちがいない。
こうしたリスクも踏まえた上で、シーズンを戦い抜く覚悟を決めていた‥‥のだろうが、先発が初回から崩れて後手後手に回ってしまったという「オープナー」の悪しき例な試合も、後日に起きた。‥途中で方針が変わる可能性はある。
「オープナー」は、メジャーのケースでいうなら中継ぎ・抑えの投手が務めるのが基本。ファイターズに当てはめれば、宮西尚生や石川直也が先発でいく‥そんな認識。短いイニングを抑えるのに長けた彼らを序盤に当てるというのなら解かるが、本来先発型の投手をオールスター戦よろしく、“3イニングずつ”とかは、少し違う気もする。
両方の経験がある加藤はまだしも、プロで、ほぼほぼ先発しか務めてこなかった斎藤佑樹では、少々勝手がちがってキツかったか......
上の記事を読むかぎり、栗さんはまだ「熟考中」といった塩梅。‥でも、せっかく始めたのだから、斎藤のオープナー起用も含めて、個人的にはもう少し見てみたい。もしかしたら、ハマるかもしれない。何でもそうだけれど、一番初めにやったところに価値がある。
‥‥もう、こういった発想をしている時点で、私もあなたも完全栗山信者(笑)。とことん冒険心に満ちた栗山野球、だから おもしろい!