どうでもいいこと‥‥日本ハム対ロッテ
そう自身の“ネタ”として扱っていたのは、女芸人・だいたひかるだったか。その日本ハムvsロッテ戦が今、熱い! 実に熱すぎた――
代打・田中賢介の逆転弾に涙したのは、なにもスタンドにいた女性だけではない。画面越しにそれを見つめていた中年男(筆者)も一緒だ。今、こうして思い返すだけで泣けてくる。
2シーズンぶりの本塁打となったわけだが、なんとなく予感はあった。26日の埼玉西武戦。同じく代打として登場した打席で、ライト方向への大きな飛球。あの「残像」が残っていたのだ。しかし、まさか本当に、こんなにも早く、広大な札幌ドームのライトスタンドに放り込んでしまうとは‥‥。
一発出れば逆転というのは解かっていたけれど、中継の中でもあったように、田中賢には「繋ぎ」の打撃が望まれていた。ホームランなんて、おそらく、ほとんどの観衆が予想もしていなかったと思う。そこで飛び出した、逆転のツーラン。
これはもう‥ベンチ内で献身的に仲間をサポートする姿を見ていた、野球の神様からの「ギフト」ではないだろうか。腐らずに頑張っていれば、かならずイイことがある‥。誰かが見てくれている‥。控えに回ることも多くなったベテラン選手ならではのチカラの与え方を、彼は我々に示してくれた。
代打でのホームランは14年ぶり‥か(上リンク先参照)。あのシーズン最終戦で放ったサヨナラホームランのあと、当時のトレイ・ヒルマン監督が来季もっとも期待を寄せる選手として、田中賢介の名を挙げていたのを思い出す。それに応える形で、翌年からセカンドのレギュラーを獲得。入団時から拙守に泣かされ続けてきた男が嘘みたいに、いつしか「名手」となっていた。件の千葉ロッテ戦を観戦しながら、平沢大河が若き日の田中賢の姿とダブって見えて仕方ない......
文字通り田中賢の「ターニングポイント」だった
今季はバットの方も好調で、王柏融離脱時にはクリーンアップも担った。ファイターズOBの大島康徳氏は現役最終年に打撃の「極意」をつかんだらしい。現在の田中賢も似た状況にあるのだろうか。‥しかし、これだけ打つと『今シーズンかぎり』というのが、ますます惜しくなってきてしまう。今後、我々はそのジレンマとも戦っていかねばならない。
◇ドラフト「4年後」本当のアタリハズレ?
29日のマリーンズ戦、先発を務め5回1失点の好投を披露したのは、4年目の吉田侑樹(25)だった。
相手先発の岩下大輝が角度のある、見ていて気持ちの良いストレートを放っていたのに対し、吉田侑のは明らかにクセ球。腕の使い方が独特で、スリークォーター気味である。打者目線の“打ちづらさ”でいうなら、彼の方だったかもしれない。この日はストライク先行の投球で、課題の四球も一つにとどめた。同姓の人気投手の一軍入りが各所で囁かれているが、負けじと争ってほしい。
ふと吉田侑樹が指名された、2015年のドラフト会議を思い出す.......
竹田社長がドラフトでクジを外しまくった、あのドラフトである(失笑)。一巡目で高校生の高橋純平(現ソフトバンク)と小笠原慎之介(現中日)を立て続けに外したファイターズは一転、明治大の上原健太を指名。‥‥以後、4人の大学生(井口・田中豊・吉田・横尾)、社会人1名(加藤)、高校生を2名(平沼・姫野)指名した。
将来有望な高校生を逃したことで、即戦力指向へと方向転換。育成に重きを置く球団が、これほど多くの大学生選手を指名したのは、ファイターズにとって異例だった(即戦力となれたかは別として)。
当ドラフト会議は高校生の平沢大河と高橋純平、大学生の高山俊の指名が重複。‥面白いのは、これらの選手がいささか伸び悩み傾向にあるのに対し、単独指名‥いわゆる「一本釣り」に成功した球団の“慧眼さ”である。
DeNAが今永昇太、オリックスが吉田正尚、西武が多和田真三郎、広島が岡田明丈といった具合。会議から4年経った今、彼らは「チームの顔」ともいうべき選手になっている。競合必至の人気選手をあえて避け、各々弱点を補う独自の補強を展開した成功例。こういうことがあると、ドラフトとは“ネームバリュー”だけに囚われてはいけない気もしてきてしまう。